2024年10月13日、AS Hockey Schoolが主催するオンラインセミナー「現役NHLスタッフが語る、現代のGKに求められる資質と育成」が開催されました。
講師はNHLタンパベイ・ライトニングのゴーリースカウトであり、著名なゴーリーコーチでもあるジャレッド・ワイモン氏で、Zoomを通じたセミナーには多数参加しました。後日視聴を予定している参加者も含め、多くの関心が寄せられました。
講師紹介:ジャレッド・ワイモン氏
アメリカ・コネティカット州出身のジャレッド・ワイモン氏は、NCAA D1およびD3のゴーリーコーチとして活躍し、2019年からはNHLタンパベイ・ライトニングのゴーリースカウトを務めています。また、アメリカのU17、U18、U20代表チームでゴーリーコーチとして活動し、Procrease Goaltendingの主宰者としても知られています。
ワイモン氏は、自身のキャリアの歩みについて語り、「Noと言わない」姿勢を通じて多くの経験を積んできたことを強調しました。彼は、頼まれた仕事が困難なものであっても引き受けることで、多様な経験を重ね、現在の地位に繋げてきたと述べました。
コーチング哲学
ワイモン氏のコーチング哲学は、以下の要素を軸にしています。
人間としての尊重: 「ゴーリーである前に人間であること」を大切にし、選手同士の円滑なコミュニケーションが必要不可欠であると強調しました。
シンプルなコーチング: ゴーリーの特性を理解し、誰にでも理解できる言葉でシンプルに伝えることが重要で、特にプレー中のコミュニケーション方法が適切であることが成果に繋がると述べました。
決断力(Decisive): ワイモン氏が何度も強調した言葉であり、迷いのない決断をすることがゴーリーの成功の鍵であると述べました。
競争心(Compete): 日々の練習から、競争心を持ち、常に勝利を目指す姿勢が必要です。セミナーでは、ゴール前のリバウンドのシーンを例に競争心を強調しました。
育成における学び
ワイモン氏は、コーチとしての役割として以下の点を挙げました。
ゴーリーが「するべきこと」よりも「何をしたいか」に集中できる環境を整えること。
ゴーリーコーチもチームのコーチングスタッフの一部であり、ヘッドコーチや他のスタッフとの密な連携が必要。
選手の不調についても正直に伝える姿勢が信頼に繋がること。
また、近年のホッケーはゲームIQが高まっており、シューターよりも賢くプレーするために日頃の習慣(Habits)が重要であると指摘しました。細かいディティールが毎回のプレーに再現されることで、試合での安定したパフォーマンスに繋がると述べました。
総評
今回のセミナーは、ジャレッド・ワイモン氏の豊富な経験と洞察に触れる貴重な機会となりました。ワイモン氏がNHLレベルのコーチング哲学を共有してくれたことで、参加者はゴーリー育成の新たな視点を得ることができました。特に、「Noと言わない」姿勢や、多様な学びの重要性を強調する姿勢は、これからのキャリアを築くうえで多くの人にとって指針となる内容でした。
また、「Decisive(迷いのない決断)」を繰り返し強調することで、選手が試合中に迷いなくプレーできるように導くことの大切さを深く学べました。決断力を高めるための日々のトレーニングや、競争心を育てる実践的なアプローチも具体的な事例を交えて説明していただき、日常のトレーニングに即座に応用できる内容でした。
さらに、コーチングのフィロソフィーにおいて、選手を「ゴーリーである前に人間」として尊重する姿勢は、多くの参加者にとって印象的だったと思います。技術や戦術を教えるだけでなく、選手とのコミュニケーションを重視し、シンプルでわかりやすい言葉で伝えることの大切さは、ゴーリーコーチだけでなく、あらゆるスポーツの指導者にとって有益な教えでした。
最後に、ワイモン氏のご協力に心から感謝いたします。彼の熱意と知識に触れたことで、多くの参加者が新たな意欲を持ってゴーリー育成に取り組むことができるでしょう。